大塚英志botの経過報告 その2

ウィキペディアによると、8月28日は大塚英志先生の誕生日だそうです。
オメデトウ(^▽^)ゴザイマース

それと同時に、大塚英志botを始めて2年が経ちました。
フォローされている人数も2000人を越えて、フォロー返しもできないくらいの人数になったのは嬉しい限りです。

今日は2012年8月28日時点での引用登録数と内訳を報告します。
昨年からの差分は赤字にしています。

まんが原作と小説はあとがきから,評論は本文かあとがきからの引用。雑誌等に掲載されたのちに単行本が出たものは、単行本のページ数を記載。また、ハードカバーと文庫版がある場合、入手しやすい文庫版のページ数を記しています。

合計:164

まんが原作 6
『東京ミカエル 下』1
北神伝綺・下』1
多重人格探偵サイコ』1
『超鉄大帝テスラ 下』1
『多重人格探偵サイチョコ』1
アンラッキーヤングメン 2』1

小説 29
『摩陀羅 天使編1』1
『摩陀羅 天使編3』1
多重人格探偵サイコ1 情緒的な死と再生』3
多重人格探偵サイコ2 阿呆船』6
多重人格探偵サイコ 雨宮一彦の帰還 講談社ノベルス』4
多重人格探偵サイコ 小林洋介の最後の事件、西園伸二の憂鬱 講談社ノベルス』2(この2作品の講談社ノベルス版のあとがきは同じ)
多重人格探偵サイコ 雨宮一彦の帰還 角川文庫』1
多重人格探偵サイコ 小林洋介の最後の事件 角川文庫』3
『僕は天使の羽根を踏まない』3
『ロリータ°Cの素敵な冒険』2
『夏の教室』3

脚本 8
多重人格探偵サイコREAL』1
多重人格探偵サイコ/新劇 雨宮一彦の消失』7

評論 100
単著
『定本 物語消費論』6
『少女民俗学』1
『『りぼん』のふろくと乙女ちっくの時代』1

『「彼女たち」の連合赤軍』4
『物語の体操』10
『キャラクター小説の作り方』7
アトムの命題』9
『少女たちの「かわいい」天皇』4
『「おたく」の精神史』7
物語消滅論』6
『キャラクターメーカー』3
『ストーリーメーカー』2
『大学論 いかに教え、いかに学ぶか』 2
『映画式まんが家入門』2
『物語の命題』4
手塚治虫が生きていたら電子コミックをどう描いていただろう』3
対談
『だいたいでいいじゃない。』2
『リアルのゆくえ』10
『愚民社会』5
共著
『「ほしのこえ」を聴け』2
雑誌
小説トリッパー2001夏季号』1(+リアルのゆくえと重複箇所4つ)
新現実vol1』1(+リアルのゆくえと重複箇所6つ)
新現実vol2』1
非実在青少年読本』1
『atプラス05号』2
『群像2002年06号』1
週刊ポスト』3

解説 1
『ジョーカー涼』1

ネット 4
大塚英志のおたく社会時評』4

電子書籍 16
『web新現実』2
『月刊未来まんが研究所』2
『月刊未来まんが研究所vol.2』2
『月刊未来まんが研究所vol.3』2
『月刊未来まんが研究所vol.4』2
『月刊未来まんが研究所vol.5』2
『ねとぽよ第2号』4

合計数は134164。増加数はたった30です。
いやぁ、全然増えてないですね(笑)
増加分は主に電子書籍ですね。毎月発行されている『月刊未来まんが研究所』の値段はなんと100円!内容は100円とは思えないボリュームなので、オススメですよ。
来年の経過報告までにはもっと登録数を増やしたいです。


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思想家カードゲームプロジェクトのデッキ構成案 その1 #しそトレ

[[]]こんにちは、カードゲーム大好きhmuraokaです。

teramatさん立案の思想家カードゲームプロジェクトをご存知でしょうか?
なにそれ?って人や、忘れたって人は、下のリンク先をご覧ください。
思想家トレーディングカードゲーム企画(#しそトレ)
思想家カードゲーム・プロジェクト再始動!?( #しそトレ)

「あるぇー、まだやってたんだー」なんて思った人もいるかもしれませんが、のんびりと進行中です。本当に。
現在、teramatさんには思想家やゲームのコンセプトを考えてもらい、ぼくとBraumazさんがデッキ構築とゲームバランスを考える分業体制になっています。

ちなみに、なんで思想家のカードゲームを作っているのかと言うと、teramatさんには「カードの売上で人文系研究者支援のファンドを立ち上げる」という壮大な目標があるそうです。まずは赤字を出さないことが目標ですが。
ぼくも誘われたからなんとなくという訳ではなく(それもありますが)、批評界隈におけるTCG基礎知識向上とTCGプレイヤーの増加、そしてTCG論の普及という大いなる野望があります。思想家カードゲームプロジェクトはその第一歩だと考えています。

大いなる野望の実現のため、今日はデッキ構成案その1を公開します。
構成案なのでダメだし、改善案などをお願いします。

<メモ>

  • 主なルールに関しては、マジック・ザ・ギャザリングに準拠。
  • 基本地形以外のカードはすべて1枚ずつ。
  • デッキ枚数は30枚以上、同じカードはデッキに2枚まで。
  • つまり、スターターセット1つでそのまま遊べる、2つでデッキ構築もできる。トレーディング要素は同人では難しいと考えるのでなし。#しそトレというタグを使っているけど、カードを使った拡張可能なボートゲームを目指す。
  • 構成案の段階では思想家はすべてバニラ、概念は既存のカードから流用、研究はオリジナル。
  • 構成案を詰めた上で、思想家の効果を決めて更に調整を繰り返す。
  • スターターセットの内容はteramatさんの案に沿った形にした。

    1デッキの構成
    書物(土地)カード:12枚
    思想家(クリーチャー)カード:12枚
    概念(インスタントorソーサリー)カード:6枚
    研究(アーティファクト)カード:3枚


<黒赤デッキ>(ビートダウン寄り)

土地 12枚
 6枚
沼 6枚

クリーチャー 12枚
() 1/1
(黒) 1/1
(1)() 2/1
(1)(黒) 1/1
(黒)(黒) 2/2
(2)() 3/1
(2)(黒) 2/2
(2)(黒) 2/2
(1)(黒)(黒) 3/2
(3)() 3/3
(2)(黒)(黒) 4/3
(3)()() 5/4

インスタントorソーサリーカード 6枚
() インスタント クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。このカードはそれに2点のダメージを与える。
(1)() ソーサリー クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。このカードはそれに3点のダメージを与える。
()() ソーサリー このカードを唱えるための追加コストとしてカードを1枚捨てる。カードを2枚引く。
(2)() インスタント クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで+3/+0の修整を受けるとともに先制攻撃を得る。(それは、先制攻撃を持たないクリーチャーより先に戦闘ダメージを与える。)
(1)(黒)(黒) インスタント あなたの対戦相手がコントロールするクリーチャーは、ターン終了時まで-1/-1の修整を受ける。
(3)(黒)(黒) インスタント このカードを唱えるための追加コストとして、X点のライフを支払う。 クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで+X/+0の修整を受ける。

アーティファクトカード 3枚
(1) アーティファクト (X)(X),(T):クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで+X/+0の修整を受ける。
(3) アーティファクト (T):クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで速攻を得る。(それらは、あなたのコントロール下になってすぐに攻撃したり(T)したりできる。)
(4) アーティファクト (4)(T),プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはカードを1枚捨てる。

マナカーブ
1マナ 4枚 赤赤
2マナ 5枚 赤赤赤黒黒
3マナ 7枚 赤赤黒黒黒黒
4マナ 3枚 
5マナ 2枚 
土地 12枚
合計 33枚

<白青デッキ>(コントロール寄り)

土地 12枚
平地 6枚
 6枚

クリーチャー 12枚
() 1/1
() 1/1
(1)() 1/2
()() 2/2
(1)() 1/1
(2)() 1/4
(2)() 2/3
(2)() 2/2
(2)()() 3/4
(4)() 3/5
(4)() 3/4
(4)()() 6/6

インスタントorソーサリーカード 6枚
() インスタント アーティファクト1つかクリーチャー1体か土地1つを対象とする。あなたはそれをタップまたはアンタップしてもよい。
() インスタント 攻撃しているクリーチャー1体を対象とし、それをオーナーのライブラリーの一番下に置く。それのコントローラーは、そのタフネスに等しい点数のライフを得る。
(1)() インスタント クリーチャーではない呪文1つを対象とし、それを打ち消す。
(1)() インスタント 呪文1つを対象とする。それのコントローラーが(3)を支払わない限り、それを打ち消す。
(2)() ソーサリー カードを2枚引く。
(3)() インスタント このターンに戦場からあなたの墓地に置かれたすべてのパーマネント・カードを戦場に戻す。

アーティファクトカード 3枚
(4) アーティファクト (4)(T),カードを1枚引く。
(3) アーティファクト (3)(T),このカードを生け贄に捧げる:あなたのライブラリーから基本土地カードを2枚探し、それらのカードをタップ状態で戦場に出す。その後あなたのライブラリーを切り直す。
(4) アーティファクト (4)(T),アーティファクト1つかクリーチャー1体か土地1つを対象とする。あなたはそれをタップまたはアンタップしてもよい。

マナカーブ
1マナ 4枚 白白青青
2マナ 5枚 白白青青青
3マナ 5枚 白白青青
4マナ 4枚 無無白白
5マナ 2枚 
6マナ 1枚 
土地 12枚
合計 33枚

ゲンロンのバナー広告でできるノベルゲームの攻略 〜さらば、愛しきゼロ年代よ〜

注意!
このページはゲンロンのバナー広告でできるノベルゲームのネタバレを含みます。
特に、バナー右側にいる美少女のルートに関して重要なネタバレをするので一度プレイした後で読んで下さい。


みなさんこんにちは。hmuraokaです。
思想地図vol.3は大変好調に売れているようですね。TLでも新憲法の話題が盛り上がったり、憲法勉強会が行われている様子を眺めるたびに、早く読もうと決意する日々を過ごしています。読み終わったら、大塚英志の「護憲派としての改憲運動」との差異についてまとめようと思ってますが、最近だらだらしているので、年内完成が目標です。

それはさておき、みなさんはゲンロンのバナー広告で遊びましたか?ここの右上にあるあずまんと美少女のバナーのことです。言語社のアドスフィアというサービスを使い、ノベルゲームのようなバナー広告が配信されています。

この広告は多くのノベルゲームと同様、選択によって話が分岐しています。プレイ時間は短いですが、ルートによって内容が異なるので、全部の話を読みたくなりますね。「そんなダルいことやってられるか」というめんどくさがり屋さんのために、今日は攻略ルートをメモっておきます。質問は青字で、クイズの正解は赤字で、適当につけたEND名は太字で表示しています。


あずまんと美少女、どちらを選ぶ?
 あずまん→あずまんルートへ
 美少女→凪ルートへ

あずまんルート
 思想地図β3に興味がある?
  YES→思想地図β3とはなんぞやという疑問にあずまんが答えてくれるEND。おれが妙に馴れ馴れしいぞ。
  NO→ゲンロンカフェに興味がある?
     YES→ゲンロンカフェとはなんぞやという疑問にあずまんが答えてくれるEND。あずまんの説教が面白い。
     NO→ゲンロンカフェのない世界END。カフェのない世界は過酷やで……

凪ルート
 じつは、知りたいことがあって来たんだ……
  凪のことを教えてくれ→この選択肢に戻る
  ゲンロンカフェについて教えてくれ→この選択肢に戻る
  儲け話を教えてくれ→ゼロ年代カルトQがカルトへ

ゼロ年代カルトQ
 第1問。2001年に講談社現代新書から出された東浩紀の代表作は
  動物化するポストモダン
  中国化するポストモダン
  不可能性の時代化するポストモダン
 第2問。2008年に早川書房から出版された批評家の宇野常寛の初の著書といえば
  ゼロ年代の想像力
  エロ年代の想像力
  アーキテクチャの性体験
   参考:残りの2冊は同人誌が出ています。『アニメルカ』オフィシャルサイト
 第3問。この中で『存在論的、郵便的』に登場しない思想家は誰
  アドルノ
  アレント
  ベンヤミン
 第4問。『セーラームーンはチャイルドアニメか』論争のきっかけとなった東浩紀発言が掲載された媒体は
  リトルモア
  SPA!
  ゲームラボ
   参考:小川びいと東浩紀との往復メール
 第5問。『存在論的、郵便的』の巻末索引の製作者は?
  @parages
  @lethal_notion
  @ttt_ceinture
 第6問。村長
  id: otsune
  id: p_shirokuma
  id: kanose
   参考:加野瀬未友
 第7問。伊吹マヤ派は?
  id: mae-9
  id: hitomisiriing
  id: cherry-3d
   参考:ファウスト あずまくんが大王 つたわりません nDiary
 第8問。宇野常寛が選んだ2006年ワースト小説は?
  ぼくと魔女式アポカリプス
  永遠のフローズンチョコレート
  夏限定トロピカルパフェ事件
   参考:第32回惑星開発大賞&年末のご挨拶 - 第二次惑星開発委員会NEWS永遠のフローズンチョコレート : 第二次惑星開発委員会 今日のクロスレビュー
 第9問。福嶋亮大のブログで掲載された『最果てのイマ』試論で名前が挙げられた心の哲学の論者は
  キム
  サール
  ネーゲル
 第10問。2005年に東浩紀が酔っぱらって路線に転落した駅はどこ
  市ヶ谷
  飯田橋
  水道橋
   参考:「渦状言論」は閉鎖したため当時の2chのスレで。 【文芸】批評家の東浩紀、泥酔し線路に落ちて大怪我

70点以下→ゼロ年代への思いを馳せながら、空へEND
80点→村上さんからちょっといい話END
90点→徳久さんとクイズ坂を登り始めるEND
全問正解→True Endまであと少し!


ゼロ年代カルトQがカルトすぎる… 初見で70点以上無理でした。グーグル先生と総当り攻撃で突破やで。
ゼロ年代批評なんてニッチなジャンルに多少なりともハマった自分にとっては、80点、90点、そして全問正解のそれぞれのENDが他人事とは思えませんでした。これをよんでいるゼロ年代批評ファンの方もぜひプレイしてみてくださいね。

日本2.0 思想地図β vol.3
東 浩紀 村上 隆 津田 大介 高橋 源一郎 梅原 猛 椹木 野衣 常岡 浩介 志倉 千代丸 福嶋 麻衣子 市川 真人 楠 正憲 境 真良 白田 秀彰 西田 亮介 藤村 龍至 千葉 雅也 伊藤 剛 新津保 建秀
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波間の国のファウスト
bitterdrop (2012-06-29)

HUNTER×HUNTER 第5回選挙結果までまとめ

この記事には、最近のHUNTER×HUNTERのネタバレはもちろん、めだかボックスのネタバレも少しあるので、単行本派の人は気をつけてください。







『悲しいこと』ってなんだと思う?
失恋か?
失職か?
戦争か?
疫病か?
暴動か?
どれも違うね―
『悲しいこと』とは
『自分が生きてる間に』
『好きな漫画の最終回を読めないこと』さ

めだかボックス 第124箱「代償も大きかった」より


最近、HUNTER×HUNTERの盛り上がりが半端ないですね。
来週のジャンプを待ち遠しく思う日々が続いています。

キメラアント編が終わってからは、次期会長を決める選挙の攻防を描く「選挙編」と、アルカを巡るゾルディック家の思惑が交差する「アルカ編」が並行して進んでいます。

選挙編では、4回目で投票率が95%を超えたため、新会長候補者が上位16名にしぼられました。
一癖も二癖もありそうな顔ぶれによる駆け引きが見られるのか。それとも、選挙そのものを壊しかねないアルカの能力を誰かが利用してくるのか。
選挙パートをより楽しむために、4回目までの選挙結果をまとめてみました。


まずは、第1回から第4回までの選挙のデータから確認します。


総ハンター数    661名

第1回結果
有効得票数     580票
無効票         48票[自分の名前だけ記入、誤字脱字、前会長に投票、指名該当者なし等]
欠席表         33票[ゴン、シュート、クラピカ、キルア、シャルナーク他28名]
過半数票獲得者   なし
投票率        87.7%

第2回結果
有効得票数     583票(+3)
無効票         45票(+3)
欠席表         33票(±0)
過半数票獲得者   なし
投票率        88.2%(+0.5%)

第3回結果
有効得票数     593票(+10)
無効票          0票(−45)
欠席表         68票(+35)
過半数票獲得者   なし
投票率        89.7%(+1.5%)

第4回結果
有効得票数     642票(+49)
無効票          0票(±0)
欠席表         19票(−49)
過半数票獲得者   なし
投票率        97.1%(+7.4%)



メモ
・パリンストンが副会長になってから、3年間で消息不明のハンターは18人いる。
ヒソカ第1回で、白票を入れている。(以後は不明)
・第3回から、以下のルールが追加された。
意図的な無効票を無くすため投票直前の用紙確認を行う
「棄権」と「無効」両方の違反をした者のハンターライセンスを一定期間没収する

まず、第4回欠席票が19票というのが気になります。

3年間で消息不明のハンターは18人、ジンが2年に1度含まれていたとしても、その数は16、17人になります。
ジンのようにふらっと帰ってくる人がいれば減りますが、ミザイストムがパリンストンに対して、お前が消しただろという含みを持たせた発言だったことを考えると、だいたいこのくらいの数かと思います。

第1回の欠席者には、ゴン、シュート、クラピカ、キルア、シャルナークが含まれ、さらに、第4回の選挙後に発表された紹介によれば、イックションペ=カットゥーチャが棄権中です。
ゴン、シュート、クラピカ、キルア、シャルナークがその後の選挙に参加しているとは、考えにくいため(シュートは意識さえあれば不在者投票しているかも)、今後、欠席票はほぼ動かないと思います。

最後の最後で、この欠席票が鍵を握る展開も楽しそうです。



次に、第2回から第3回で無効票から欠席票に回ったと思われる35人の存在も気になります。

追加ルールにより、ハンターライセンスを一定期間没収されるリスクを覚悟して欠席票に回った人の多くは、現状では選挙を成立させたくない親前会長派だと思われます。

しかし、 第4回では、その殆どが有効票を投じています。
これは親前会長派がパリストンに対抗できる可能性を見つけたからではないでしょうか。


その話の前に、第4回選挙結果で上位16名に入った新会長候補者を紹介しながら、第1回目からの投票数と順位を確認します。


第1位 パリストン=ヒル
トリプルハンター 現ハンター協会副会長 優しいハンター協会がモットー

第1回:1位    249票
第2回:1位(←) 251票(+2)
第3回:1位(←) 258票(+7)
第4回:1位(←) 258票(±0)


第2位 チードル=ヨークシャー
トリプルハンター 十二支んの頭脳 あらゆる膿を出しつくします

第1回:2位    42票
第2回:2位(←) 46票(+4)
第3回:2位(←) 49票(+3)
第4回:2位(←) 57票(+8)


第3位 レオリオ=パラディナイト
ルーキー ジンをぶっ飛ばした超新星 医者を目指し勉強中

第1回:−位    −票
第2回:−位(−) −票(−)
第3回:−位(−) −票(−)
第4回: 3位() 55票(+55)


第4位 ボトバイ=ギガンテ
トリプルハンター 十二支んの御意見番 名実共に最も会長に近い男

第1回:4位     17票
第2回:4位(←)  27票(+10)
第3回:3位(↓1) 31票(+4)
第4回:4位(←)  31票(±0)


第5位 ミザイストム=ナナ
クライムハンター(ダブル) 十二支んの良心 副会長派も認める常識人

第1回:4位     17票
第2回:5位(↓1) 24票(+7)
第3回:4位(↑1) 27票(+3)
第4回:5位(↓1) 27票(±0)


第6位 イックションペ=カットゥーチャ
ハッカーハンター(シングル) 電脳世界の住人 本人は依然棄権中

第1回:3位     26票
第2回:3位(←)  28票(+2)
第3回:4位(↓1) 28票(+2)
第4回:6位(↓2) 26票(−2)


第7位 テラデイン=ニュートラ
ヘッドハンター(ダブル) 人材発掘・育成のスペシャリスト ハンター試験の抜本的見直し要求

第1回:13位     9票
第2回:8位(↑5) 10票(+1)
第3回:7位(↑1) 17票(+7)
第4回:7位(←)  21票(+4)


第8位 モラウ=マッカーナーシ
シーハンター(シングル) 蟻討伐で一気にトリプルハンターか 外来種対策の重要性説く

第1回:8位     12票
第2回:7位(↑1) 13票(+1)
第3回:6位(↑1) 18票(+5)
第4回:8位(↓2) 20票(+2)

第9位 サッチョウ=コバヤカワ
お悩みハンター(ダブル) 十二支んの相談役 裏方の視点で協会改造を

第1回:6位     14票
第2回:6位(←)   15票(+1)
第3回:8位(↓2) 15票(±0)
第4回:9位(↓1) 15票(±0)


第10位 ビスケット=クルーガー
ストーンハンター(ダブル) ハンター協会のお姉さん 怒られたい人急増中

第1回:16位    6票
第2回:13位(↑3) 8票(+2)
第3回:12位(↑1) 10票(+2)
第4回:10位(↑2) 14票(+4)


第11位 サンビカ=ノートン
ウイルスハンター(シングル) ハンター協会の女医さん 本人は「投票しないで」と困惑中

第1回:11位     10票
第2回: 8位(↑3) 10票(±0)
第3回: 9位(↓1) 14票(+4)
第4回:11位(↓2) 13票(−1)


第11位 リンネ=オードブル
グルメハンター(ダブル) 協会最年長ハンター 肉声が聞ければ5年ぶり

第1回:16位    6票
第2回:13位(↑3) 8票(+2)
第3回:12位(↑1) 10票(+2)
第4回:11位(↑1) 13票(+3)


第13位 ブシドラ=アンビシャス
ブラックリストハンター(シングル) ハンター協会の風紀委員 ハンター10カ条の改訂論者

第1回:14位     8票
第2回: 8位(↑6) 10票(+2)
第3回: 9位(↓1) 14票(+4)
第4回:13位(↓4) 12票(−2)


第13位 ルーペ=ハイランド
ロストハンター コンタクトから失踪者まで探します 会員のロスト問題に切り込む

第1回:19位     5票
第2回:12位(↑7) 9票(+4)
第3回:11位(↑1) 13票(+4)
第4回:13位(↓2) 12票(−1)


第15位 キューティー=ビューティー
かわ美いハンター(シングル) 自他共に認める副会長の親衛隊 ”かわ美い”協会を目指す

第1回:11位     10票
第2回: 8位(↑3) 10票(±0)
第3回:12位(↓4) 10票(±0)
第4回:15位(↓3) 10票(±0)


第16位 ジン=フリークス
遺跡ハンター(ダブル) 十二支んの風来坊 ギリギリ復活はあの同情票か?

第1回:15位    7票
第2回:−位() −票(−7)
第3回:−位(←) −票(±0)
第4回:16位() 8票(+8)


パリストンとジンを除く十二支んの票数と合計
    チードル ボトバイ ミザイストム サッチョウ ギンタ ピヨン クルック カンザイ ゲル サイユウ 合計
第1回: 42票  17票    17票    14票  13票 11票  11票  4票   4票  2票  135票
第2回: 46票  27票    24票    15票   0票  0票   0票  6票   3票  2票  123票
第3回: 49票  31票    27票    15票   0票  0票   0票  6票   0票  2票  130票
第4回: 57票  31票    27票    15票   0票  0票   0票  3票   0票  1票  134票


パリストンは250〜260票、パリストンとジンを除く十二支んの合計票は130票前後でほぼ固定されています。
このままではパリストンの圧勝が目に見えていますが、仮にパリストンの票の半分を単独で集めることができる候補者が現れれば話が変わります。

第4回投票前に行なわれた演説の際に、ジンを殴る衝撃の展開を見せつけて、会場からスタンディングオベーションを浴びたレオリオがまさにその可能性を持った候補者だといえます。
親旧会長派の神輿に乗せることができれば、十二支んの票をその候補者に集めることでパリストンに対抗することが可能です。

また、レオリオに多くの票が動いた第4回投票でも、パリストンや十二支んの支持者の数に大きな変動がないことから、レオリオの支持層はパリストンや十二支んとは異なることがわかります。
パリストンや十二支んは支持基盤が明確だが、浮遊票はあまり獲得できない、逆に、レオリオは支持基盤はないが、浮遊票が集まりやすいと思われます。
候補者が限られてくる今後の投票では、レオリオの票が伸びてくることは十分に考えられます。

レオリオを巡ってパリストンと十二支んの間で激しいやり取りが見れたらいいなと思います。



今回の選挙まとめは以上です。
他の候補者の票の推移に触れたり、16位以下の票もまとめる予定でしたが、思ったよりも面倒で力尽きました。
余裕があったら、そのうちまとめてみます。

(あとがきによると、計算ミスがあったようです。

結論から言うと私はかけ算も足し算も覚束ない事がわかりました。老化と思おう。
週刊少年ジャンプ2011年46号の巻末コメント

投票率やパリストンが獲得した票の割合が、四捨五入なのか切り捨てなのかハッキリしていなかったことを指すのか、日本の選挙では総投票数÷総有権者数=投票率となるので、第1回から投票率95%になることを指すのか、それとも、別の何かなのかわかりませんが、単行本で修正されるかもしれません。まぁ、それも一興です。)

bot論、あるいは私とキャラクターとTwitterの退屈なつぶやきについて

8月28日は大塚英志氏の誕生日です。おめでとうございます。
それと同時に昨年の8月28日から始めた大塚英志bot(@otsukaeiji__bot)が一周年を迎えた。現在登録されているつぶやきはこのようになっている。初日にからフォローしてくれた方は同じつぶやきばかりで飽きてしまったのではないかと不安になるが、コツコツと登録しているので見捨てないで頂きたい。
今回は大塚英志botを始めてからの感想を書いてみたい。とはいえ、botのつぶやきは登録をおこなえば自動で投稿されるため、大した手間はかかっていない。出来ることはbotにつぶやかせる言葉を書籍から引用してくるだけだ。
大塚英志氏の書籍を読み返し、botに引用する言葉を取捨選択していく。この淡々と繰り返される作業の中で、ぼくの日頃のつぶやきも大塚英志の発言に引っ張られることが多くなった。すかさず入れられるであろう、引用しようと意識しながら読んでいるので当たり前だという指摘は当然正しい。しかし、単純に影響を受けるだけではなく、自分のつぶやきと大塚英志botの発言の境界が崩れる奇妙な感覚があった。ぼくのつぶやきは大塚英志botのつぶやきに近くなり、大塚英志botのつぶやきはぼくのつぶやきに近くなることで、2つは漸近していった。この感覚がどこから来ているのか考えるために、私とキャラクターの関係について振り返ってみたい。

まずは、基本事項を確認する。先ほどから繰り返しているbotとは何だろうか。botは複数の意味を含み、例えばクローラ(Crawler)と呼ばれるようなウェブ上の文書や画像などを周期的に取得し自動的にデータベース化するプログラム*1を指すこともある。しかし、ここではTwitterにおけるbotを指している。はてなキーワードでは以下のようなTwitterbotに関する解説がある。

TwitterBOT
自動でつぶやかれる通常のツイートに加えて、リプライに返信したり、フォローを返してくれるプログラムもある。BOTでもアカウントを見守る中の人がいる場合もある。*2

この引用で重要になるのは、botが自動と手動に分けられることだろう。自動のbotには、中に人がいるかのように振る舞うbotや、実在する人物、アニメ・まんが・ゲームなどのキャラクターなどの発言を引用するbotがある。大塚英志botはこちらに含まれる。手動のbotは実在する人物やキャラクターになりきって、いかにも言いそうなセリフをつぶやくbotが多い。
Twitterは、同様に日本国内で利用されるFacebookmixiといったSNSと比べてキャラクターに関するbotが作られやすい。それはTwitterを説明する際によく使われる「いまどうしてる?(What's Happening?)」という文章からもわかる文脈を伝えることが難しい140字という字数の制約や匿名性を比較的受け入れている環境*3といったTwitterの設計思想(アーキテクチャ)によるところが大きいと考えられる。

botについて簡単な確認が出来たところで、キャラクターの話に入っていく。大塚英志氏の物語論の中でキャラクターが重要な意味を持つことは、『キャラクター小説の作り方』、『キャラクターメーカー』、『手塚治虫が生きていたら電子コミックをどう描いていただろう』など、キャラクターを議論の中心に扱った著書を読んでもらえれば明らかだろう。大塚英志氏はキャラクターという概念を矛盾を抱える存在として捉えている。

アバターというウェブ上のキャラクター概念を手がかりにすると、キャラクターの興味深い要素が二点確認できました。
一つはアバターとは仮想世界における「私」の「化身」であること。
それ故、アバターとは自分自身を見つめる視点、つまり「私」や「内面」という近代的個人とセットになったものの意味であること。
二つめは、アバターは構成要素に還元できて、それは一九二〇年代のアヴァンギャルド芸術の中にあったモダニズム的な思想に出自を持ち、決してウェブ成立以降のポストモダンなものではないこと。
一つめのアバター観は「私」というものの固有性、「私」は「私」以外の何者でもない、という問題に関わってきます。対して二つめの問題は、キャラクターはそれを構成する単純な要素に還元され、一つ一つのキャラクターはその機械的な順列組み合わせにすぎない、という考え方を可能にします。*4

キャラクターとは、自分自身を見つめる「内面」を持ちながら、構成要素を機械的な順列組み合わせで決められるものである。この概念は、別の著書で「アトムの命題」として説明されているものに近い。そこでは、内面を持つに至った経緯を、手塚治虫を援用しながら一冊の書籍になるほど詳細に解説していることもある。このことからも、大塚英志氏にとってキャラクターの概念が重要であることが確認できる。

ここでbotとキャラクターを繋げていきたい。アバターというウェブにあふれる要素を元にキャラクターを説明したことからもわかるように、ウェブとキャラクターは相性がいい。再び、大塚英志氏の議論を引用しながら確認していきたい。

そもそもこの「私」を一人称とする文章はいくらでも「アバターとしての私」を立ち上げることができます。ブログの中であなたたちが見せているつもりの「本当の私」も、反対に「2ちゃんねる」の「名無しさん」たち一人一人の当人は書き込みの過激さとは正反対の人であったりする事態を含め、ウェブ上にあるのはどれも「アバターとしての私」「キャラクターとしての私」という現象のようにぼくには思えます。*5

先に結論を言ってしまえば、大塚英志botは「キャラクターとしての私」である。これについて順を追って説明していく。
先ほど、botには自動のbotと手動のbotがあることを説明した。引用部分を読むと通常のTwitterアカウントが「アバターとしての私」、手動のbotが「キャラクターとしての私」にあたることがわかる*6
自動のbotはどちらにあてはまるのか、それともどちらにもあてはまらないのだろうか。自動のbotの中でも引用をつぶやくbotは何でも好きな事をつぶやけるわけではない。まんが・アニメのキャラクターのbotであれば引用箇所も限られるため「アバターとしての私」「キャラクターとしての私」のどちらでもなく、単に劇中のセリフをランダムにつぶやくだけになる。大塚英志botも一見同じように思えるが、そこには違いがある。大塚英志氏の著書は数多くあり、ある程度引用する箇所に選択の余地がある。そして、大塚英志botに引用する箇所は「私」が大塚英志氏らしいと思ったという極めて偏った基準で決めている。つまり、大塚英志bot大塚英志氏の発言を引用しているが、理想的なキャラクターとして組み替えた「大塚英志というキャラクターとしての私」にしかならないのである。

冒頭に示した疑問である「自分のつぶやきと大塚英志botの発言の境界が崩れる奇妙な感覚」とは、大塚英志氏の著書を読んで影響を受けた「アバターとしての私」と、大塚英志氏の著書を分解し理想的なキャラクターとして組み替えた「大塚英志というキャラクターとしての私」の距離が近づいてきたことだと結論づけることができる。
大塚英志氏が「アバターとしての私」と「キャラクターとしての私」に差がない、つまり「アバターとしての私」もまた「キャラクター」であるとして、それらをコントロールする物語論を展開しているを考えれば、当然の結論と言えるのかも知れない。
最後に何故か大塚英志氏に大塚英志botの存在を気づかれてしまい、ラジオでつっこまれた時の発言を振り返ることでこの文章の締めとしたい*7大塚英志氏は、自分と関係ないものなのでかってにやってくれと言った後で、たまに言ってないことを書くと面白いのではないかと冗談半分で言っている。「大塚英志というキャラクター」が自分の中で完成したのなら、それも面白いのかもしれない。
ぼくはやらないけど。

*1:Wikipedia クローラ」<http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%A9>(2011/08/21アクセス)

*2:はてなキーワード BOT」<http://d.hatena.ne.jp/keyword/BOT>(2011/08/21アクセス)

*3:Facebook利用者の約8割がプロフィールで実名を公開、mixiTwitterでは約2割」<http://mmd.up-date.ne.jp/news/detail.php?news_id=784>(2011/08/21アクセス)

*4:大塚英志、『ストーリーメーカー』、アスキー新書、P043

*5:大塚英志、『ストーリーメーカー』、アスキー新書、P043

*6:通常のTwitterアカウントにも自覚的に「キャラクターとしての私」として振舞っている人はいる。

*7:「眠らない大学 2010年10月22日放送分バックナンバー」<http://radio.kobe-du.ac.jp/?p=2490>(2011/08/28アクセス) 

大塚英志botの経過報告

大塚英志botを始めて1年が経ちました。
フォローされている人数も1000人を越えて、嬉しい限りでです。まぁ、宣伝アカウントも多いですが・・・。
今日は2011年8月28日時点での引用登録数と内訳を報告します。
公開することで自分へのプレッシャーになればいいなと思ってます。

まんが原作と小説はあとがきから,評論は本文かあとがきからの引用。
雑誌等に掲載されたのちに単行本が出たものは、単行本のページ数を記載。
また、ハードカバーと文庫版がある場合、入手しやすい文庫版のページ数を記している。

合計:134

まんが原作 5
『東京ミカエル 下』1
北神伝綺・下』1
多重人格探偵サイコ』1
多重人格探偵サイコチョ』1
『超鉄大帝テスラ 下』1

小説 34
『摩陀羅 天使編1』1
『摩陀羅 天使編3』1
多重人格探偵サイコ1 情緒的な死と再生』3
多重人格探偵サイコ2 阿呆船』6
多重人格探偵サイコ 雨宮一彦の帰還 講談社ノベルス』4
多重人格探偵サイコ 小林洋介の最後の事件、西園伸二の憂鬱 講談社ノベルス』2(この2作品の講談社ノベルス版のあとがきは同じ)
多重人格探偵サイコ 雨宮一彦の帰還 角川文庫』1
多重人格探偵サイコ 小林洋介の最後の事件 角川文庫』3
『ロリータ°Cの素敵な冒険』2
『夏の教室』3
多重人格探偵サイコREAL』1
多重人格探偵サイコ/新劇 雨宮一彦の消失』7

評論 89
単書
『定本 物語消費論』6
『「彼女たち」の連合赤軍』4
『物語の体操』10
『キャラクター小説の作り方』7
アトムの命題』9
『少女たちの「かわいい」天皇』4
『「おたく」の精神史』7
物語消滅論』6
『キャラクターメーカー』3
『大学論 いかに教え、いかに学ぶか』 2
『映画式まんが家入門』2
『物語の命題』4
手塚治虫が生きていたら電子コミックをどう描いていただろう』3
対談
『リアルのゆくえ』10
共著
『「ほしのこえ」を聴け』2
雑誌
小説トリッパー2001夏季号』1(+リアルのゆくえと重複箇所4つ)
新現実vol1』1(+リアルのゆくえと重複箇所6つ)
新現実vol2』1
非実在青少年読本』1
『atプラス05号』2
『群像2002年06号』1
週刊ポスト』3

ネット 6
大塚英志のおたく社会時評』4
『web新現実』2

文学フリマと大交流会トークセッ​ション『震災下の文学』の感想

一言でまとめると「お祭り」でした。

6月12日、第十二回文学フリマが行なわれ、TwitterのTLでは文フリの話題で持ちきりでした。
会場にいる人は会いましょう@を飛ばしあってあらゆる場所で交流し、会場に来れない人はその様子にぼやいてしまう光景が文フリが終わるまで見られました。偏ったフォローばかりしてるとはいえ、批評関係のクラスタに属する人たちが集結しているような気分でした。

TLだけ見ているとただのオフ会のようでしたが、本を売り買いするという文フリ本来の目的も、これまで以上の盛り上がりを見せていました。
並ばずに買えるのが文フリらしさだと思っていましたが、チャリティーイベントを行った『早稲田文学』は凄い人だかりでした。チャリティーイベントは例外としても、やらおんに取り上げられるなど事前の評判が高かった『BLACK PAST』にも行列ができていました。『BLACK PAST』が売り上げた550部という数は、文フリの売り上げで過去最高だと思われます。
ちなみに、ぼくも参加させてもらった斉藤新人さんのサークルFEFの『ワールズエンド・ガーディアンズ』も好調な売れ行きで、既刊ながら午前中で売り切れてしまいました。買えなかった方は申し訳ないです。Amazonに在庫がありますので、よろしければそちらで買っていただければと思います。

ワールズエンド・ガーディアンズ
斉藤 新人 hmuraoka kei_ex
密林社


Amazonさんにピンハネされるため、ちょっと高いですが・・・。

また、著名な方も会場を訪れていました。
村上隆さんが来られたそうですが、直接拝見することはできませんでした。2箇所ほど回られてすぐに帰られたらしいです。
ですが、会場で圧倒的な存在感を放っていた東浩紀さんを拝見することはできました。ぼくが見かけたのは、東さんに関する同人誌を出して、今回『BLACK PAST』と同じぐらい注目を集めた『はじあず』のブース前で、東さんと『はじあず』の関係者の方が集まっているところでした。ぼくはそれの様子を少し離れて見物している人だかりの中に入ってTwitterでつぶやいていましたが、謎の盛り上がりが周囲に伝わっていました。

このように、これまでとは異なる雰囲気の文フリだったわけですが、最も驚いたのは大塚英志氏と市川真人氏による文学フリマ大交流会でのトークセッションでした。文学フリマ第一回開催に携わった二人が、文フリでトークセッションを行う。そのことのに衝撃を受け、予約していた高速バスをキャンセルして参加することに決めたのが、文フリの5日前でした。
ここからは会場でトークセッションを聞いて、家に帰ってからニコ生を見た感想を書いていきます。トークセッションの様子が知りたい方は以下のものも参考になると思います。

ニコ生:文学フリマ大交流会トークセッション『震災下の文学』大塚英志×市川真人(http://live.nicovideo.jp/watch/lv52642362)
Together:震災下の文学。大塚英志×市川真人(http://togetter.com/li/148678)

ちなみにぼくは大塚氏の大ファンなので、非常に偏った感想です。

文フリが終わり、一人で大交流会の会場へ。三千円を払い会場へ入るとすでにニコ生の準備がされていた。
もうすぐ放送が始まりそうだったので、トイレに行く。帰ってくるとスタッフからニコ生についての説明がされていた。ほとんど聞けなかったが、大塚氏と市川氏の前の席はニコ生にも映るので、それでいい人は座ってくれという内容だったと思われる。事前に知っていたので、ニコ生に映る席につく。
大塚氏と市川氏のすぐ前には30人から40人ほど座れる席が設けられていた。大体半分ぐらいは埋まっていた。周りにはカメラに映らない位置で聞いている人がちらほら。交流会の会場とは敷居があるわけでなく、トークセッションに興味がない人は食事が用意されたテーブルの周りに集まり談笑しているようだった。

休むまもなく、ニコ生での放送が始まる。
まずは大塚氏と市川氏のプロフィールの紹介。恐らくここに座っている人なら知っているだろう簡単な紹介の後で、大塚氏から今回の企画の説明がされる。
最近、大塚氏はニコ生を活用しており、トークセッションを行う条件としてニコ生での放送を提示した。それはトークセッションでは会場にいる人々との対話が成立しない、そもそも関心がないという情景をカメラを入れることで可視化したい意図があったようだ。
確かにカメラの映る範囲にいる人以外に、カメラから映らない範囲で聞いている人や、そもそも関心がない人がかなりの数いたので、狙いは成功したのかもしれない。大塚氏による企画のネタばらしは何度か飛び出すが、どれも面白かった。大塚氏としては文学に関係する者がネットで顔を晒すことをためらい、匿名でありつづけてどうするんだという問題意識があるようだった。

大塚氏の話を受けて、市川氏の話も始まる。30席も埋まらない現状に見通し甘さを痛感していた。
大塚氏から、自らの名前で、自らの顔で作品を売っていくのが文学フリマでなかったのかという問いが会場に投げかけられ、会場の空気は一層重くなった。Twitterでつぶやくのもためらうほど。
さらに、大塚氏がテーブルの周りで交流会をしている人達に五月蝿いとキレる。多少パフォーマンスを含んだ行為だと思うが、これは怒鳴られた人達に同情した。トークセッションには興味がないが交流会に来ていた人に、1時間半は会場使うから隅で黙っていろというのは酷だろう。文学フリマの誕生に携わったお二方の話も、十二回目にもなればもう届かないところに来ているのかもしれない。ただ、大塚氏の怒号も聞こえなかったのか、交流会側は独自に盛り上がりを見せ、トークセッションと交流会が完全に分離する奇妙な空間になりつつあった。
カメラに映らない位置で聞いていた人もいたたまれなくなったのか、途中から椅子に座る人が増えていた。

話はようやくタイトルにもある震災の話へ。大塚氏は震災によって高揚する人に違和感を感じたという。震災に遭われた人に同情するほかないが、震災をダシに動いている人への不愉快さから『atプラス08』での文芸批評を書き上げたようだ。一人の市民として、募金をし、被災地に行く事を揶揄するつもりはないが、自分の実存、自分探し、文学を結びつけるけて語ることはおかしいだろうと指摘。トークセッションのテーマにダメ出しが入る。

市川氏も同意しつつ話を始めるが、大塚氏から「だから何が言いたいの」かとバッサリ切られる。
大塚氏はかつて市川氏、そして文学から離れた理由として9・11の話を始める。9・11の時に市川氏を含め文学者達がデモに参加したことは小さなアリバイ作りに見え、実際に訴訟を起こした自分とのスタンスの違いを感じていたようだ。私とは何かを考える近代私小説的な文学と、公共的な文学を作ろうとする文学は明確に違い、震災下にぼくはどうすればいいのかなんて文学に何の関係もない。その設問自体が甘えにすぎないし自分で考えろ、とイベントそのものをぶった切る。大塚氏のちゃぶ台返しを生で見れて、痛快でした。

市川氏から大塚氏の読者として文学観はわかるが、それ以外の文学観もありもっと広く考えるべきではないかという意見がでてくる。それに対して大塚氏は、自分には具体的な実践を通した手触りしか語れないと答える。東浩紀氏、宮台真司氏、福田和也氏のような明快な理論立ては出来ないが、実践を通して理論では語りえないことを探し、それをネットを使い言葉にしていきたいと今後の活動の方針を述べる。

ここからは市川氏による大塚英志インタビューのようになってくる。
市川氏は実践がどこまで可能なのかと疑問を投げかける。大塚氏はわからないが、ぼくはバカだから、やってみるしかないと答える。今の大塚氏の教え子たちは阪神淡路大震災の被災者が多いという。震災の直後に子どもたちの心のケアをどうするかとかつて言われたが、それは彼らがどんな言葉を作っていくかを教育していることに繋がっている。でも、それすらも偶然であり、別に神戸だからと動いたわけではない。目の前の人と対話していくしかないという大塚氏のスタンスが語られていた。

ここから文壇の話へ。
市川氏は大塚氏なら文壇の空気を無視して実践的な行動が取れたのではないかと話を振る。大塚氏から論壇にいるとやはり空気を気にしてしまう、3、4日前から喧嘩売るぞと気合入れていかないと対談で喧嘩売れないという発言が飛び出す。あれだけ暴れまわっている印象が強かった大塚氏がそれほどの覚悟を持っていたとは意外だった。
また、公的な言葉は必要だが、個人の言葉もまた必要であるという意見には、個人の言葉と公共的な言葉は対立しないと答える。個人の言葉から公共的な言葉を作っていく。それは憲法前文を自分たちで書こうと言ったことやドワンゴのニコ生で行った絵本も作りでも実践していたとこれまでについて振り返った。

再び震災の話へ。
『atプラス08』に掲載された『「戦後」文学論 高揚と喪失』の話に入るが、当日は読んでいなかったため、後日買って読みました。大塚氏はネットで見つけた文章を紹介する。高揚感を感じて西に逃げたが、何も起こらなかったことの気持ちをある戦後小説を引用することで表現した書き込みだった。その文章に個人の中で立ち上がった文学性を見出して、ネットでの文章を見直すきっかけとなったという。
このエピソードを聞いて「西に逃げた」から東浩紀氏を連想しましたが、実は違いました。Togetterを見るとぼく以外にも勘違いした人はいたようです。ぼくのつぶやきは完全に間違いでした。すいません。
大塚氏の言っていた書き込みは以下のものです。

峠は越したようだな。 今、関西にいる。
逃げたんだけどな。
無事に済めば、無駄逃げになればそれに越したことはないと思っていたが、実際無事にすみそうだとなると、なんかつまらなくなってきた。ホッとしたって気持ちがはない。
日本が終わるかも、少なくとも東日本は滅ぶかもと、ワナワナしてたあの高揚感はどうしてくれるんだ?
坂口安吾終戦時に、ここで止めちまうのかよ、ふざけんな、とことんやるんじゃなかったのかよと激怒した気持ちがわかった気がするな。

しばらく呆けてしまうかもしれない。
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/alone/1300194639/114

大塚氏からまた一つネタばらしが飛び出す。今回の話を受ける条件として市川氏がニュートラルな立場で話さないことがあったようだ。市川氏はこの条件からか非常にしゃべりにくそうだった。

ここからしばらくは文学の話が続いた。
まず、村上春樹と震災の話。文フリの数日前にあった村上春樹氏がカタルーニャ国際賞を受賞した際のスピーチの内容についてだった。
「核に『ノー』を叫び続けるべきだった」村上春樹さん カタルーニャ国際賞受賞
大塚氏は村上春樹の文学は文学と政治を切り離してきた、その村上春樹が今になって政治的な発言をするのは火事場泥棒じゃないかと批判的だった。
なぜアフガニスタンの時に動かなくて今動くのか。単純に想像力がない。文学者とはそういう想像力が働く人じゃないのか。
話は広義の文学の話に広がっていく。作家の想像力は作品に反映される。ライトノベルは神戸の震災以降の文学。清涼院流水氏がなぜ何百の密室で人を殺さなければならなかったのか。『バトル・ロワイアル』ではなぜ同級生を殺すのか。阪神淡路大震災で実家が全壊した清涼院流水氏と神戸出身の新聞記者であった『バトル・ロワイアル』の作者、高見広春氏。被災者を癒すエンターテイメントではない形で作られた2つの作品のように、今回の震災を受け止め、それでも受け止めきれない物を形にした作品がいずれ出てくる。

市川氏は大塚氏の村上春樹の評価に反論する。村上春樹の評価の低さは大塚氏の文学への期待値の高さの裏返しであると指摘。大塚氏は文学者が偉いっていてるじゃんといつもの通りの反論。市川氏はぼくはいってませんよと苦笑いするが、早稲田文学をバックボーンにつかっていることをつつかれる。ここからは市川氏が大塚氏に説教される展開になる。

話も終盤になり、文学フリマの話題になる。
市川氏は同人誌、ミニコミは甘えだと切る。これまでは既存のメディアの権威性を否定するためにも支持をしてきたが、そこに留まる限りは甘えにしかならない。大塚氏はそれを言ったら早稲田文学も甘えだと反論。自分の金でメディア作っているならミニコミ紙を笑うのもいいが、早稲田の金で担保されてミニコミを批判するのはフェアじゃない。また、すべての人はメディアを持っていい。近代は自らの言葉で考え表現していく時代だったが、それを公にできるのは一部の人々だった。ネットを批判しながらの可能性を見出していたのはそこだったと言う。文学フリマに苦言を呈するなら、代表が望月氏のまま変わらないことと、東京以外でのイベントがほとんど行われないこと。しかし、引き継いだからにはそれすらも何かいう立場にないとのこと。この辺りはプロレスやろうといいながら、指折りにいく大塚英志(本人談)の本領発揮だった。市川氏からも大塚氏のプロレス技に掛かってしまったとギブアップ気味の発言があった。

最後は責任の取り方について。
大塚氏はやってしまったことは仕方ない、そこからどう責任を取っていくかだという。やったことの責任は取る。震災を受けて小説を書く人はどこかに出てきてしまう。それは小説の形でないかもしれないし、文フリの外にあると思う。批評に可能性があるとすればそれを見つけることではないかと考えていた。
また、大塚氏から文芸批評への復帰も宣言された。それは今までのものとは違う形かもしれない。atプラス08での文芸批評は高揚感から始めたことかもしれないんが、始めたからには責任を取るしかないとのこと。市川氏も何か自分で書くことになると宣言。大塚氏は市川氏に期待をしていると最後にデレて終わった。

とても交流会の中で行なわれたイベントだと思えないほどの重苦しい空気が漂っていましたが、トークセッションは大変面白いものでした。大塚ファンとしては、ニコ生などのネットの活用と文芸批評への復帰がこれからの楽しみです。
感想としては無駄に長くなってしまいました。ここまで読んでいる人がいたのなら、ありがとうございます。


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